ジュエリーの価値 — 地金価値、売却、小売再調達
手短に言えば
ジュエリーの価値はひとつではなく三つあります。地金価値は金属だけの価値で、グラム単位の重量 × 純度 × 1 グラムあたりの相場です。売却価格は買い手が今日支払う金額で、現代のダイヤモンドリングなら当初の小売価格の 20〜40 パーセントが一般的です。小売再調達価格は、店が同等の新品につける値段です。
三つの数字が食い違う理由
一点の価値を尋ねることは、実は三つの問いを同時に尋ねることです。そして三つの答えは、どこにも誤りがないまま五倍も開くことがあります。
- 地金価値は、その品が品であることをやめた場合の金属の価値です。重量、純度、そして現在の相場。価格ではなく、下限です。
- 売却価格は、新品との競合が現実にある市場で、今日そのままの状態の品に買い手が払う金額です。
- 小売再調達価格は、もっとも近い同等品を新品として店頭で買うときに請求される金額で、税と利幅を含みます。
5,000 で買った指輪の地金価値が 400、個人間では 1,500 で売れ、買い直すには 5,500 かかる。四つの数字はすべて同時に正しいことがあります。誤りは、誰かに価値を尋ね、返ってきた数字をそのまま価値として扱ってしまうことです。
計算が裏にある唯一の数字、地金価値
地金価値は、グラム単位の重量に純度の小数を掛け、1 グラムあたりの相場を掛けたものです。金はトロイオンス単位で建値が出され、1 トロイオンスは 31.1035 グラムですから、建値を 31.1035 で割ればグラムあたりの数字になります。
6 グラムの 18 金の甲丸リングで考えます。750 の純度は 0.75 ですから、この品には純金が 4.5 グラム含まれます。金の建値が 1 オンス 2,400 米ドルなら 1 グラムは 77.16 ドル、地金価値はおよそ 347 ドルです。同じ 6 グラムでも 9 金なら純金は 2.25 グラムで、地金価値はおよそ 174 ドルになります。
この数字には二つの補正が要ります。石は数えません。重量で買う相手は留められたものの分を差し引くか、先に石を外すよう求めます。そして、地金価値をそのまま払う人はいません。スクラップを買う業者は精錬、検定、価格変動のための利幅を取りますから、まっとうな金買取店でも地金価値の 70 から 90 パーセントほど、質屋ではさらに下回ると見ておいてください。地金価値は計算ですが、提示額は交渉です。
売却価格 — 買い手が実際に払う金額
現代の量産品のダイヤモンドリングなら、売却価格は新品で買ったときの 20 から 40 パーセントが相場です。これは不祥事ではなく、この商いの構造です。お支払いになった小売価格には、店舗、人件費、ショーウィンドウに眠る在庫、広告、保証、税が含まれていました。そのどれも戻ってきません。中古の指輪は、百メートル先にある同じ新品と直接競合しますし、中古のエンゲージリングを探している人の数はごく限られています。
この幅をはっきり上回る品もあります。カルティエ、ティファニー、ヴァン クリーフ&アーペルの署名のある作品は、名前そのものが市場ですから、小売価格に対してずっと高い割合を保ちます。当初の状態を保った時代物、天然の色石、鑑別機関のレポートを備えた大粒の上質なダイヤモンド、そして地金価値が硬い下限を敷く重い無垢の金製品も、価値を保ちやすい部類です。
下回る品もあります。ラボグロウンのセンターストーンは一次市場で急激に値を下げており、現在のところ二次市場はほとんど成立していません。買い手は枠に値をつけ、石は装飾として扱います。およそ 0.30 カラットに満たないメレーは、売却価格をほとんど押し上げません。めっきの卑金属によるファッションジュエリーには、装飾としての価値しかありません。
小売再調達価格と、保険会社が求めるもの
小売再調達価格は、店に入っていちばん近い同等品を新品で買うときの費用です。三つのうちもっとも高く、しばしば売却価格の二倍から四倍になります。保険契約が組み立てられるのはこの数字のまわりです。多くの保険は、現金を渡すのではなく品を再調達するからです。
保険会社が受け入れるのは、登録された鑑定人がルーペとゲージと秤を手に実物を前にして作成し、自分の名前を記した書面の鑑定評価書です。写真から作られた推定は、Carat のものであれほかの誰のものであれ、その話し合いの出発点であり、鑑定人の時間にお金を払う前におおよその位置を知る手立てです。その書面そのものではありませんし、誠実な道具ならそう言い張ることはありません。
地金以上の価値をもたらすもの
本当にお金になるもの。
- 鑑別機関のグレーディングレポート、できれば当初のものが付いたセンターストーン。理想をいえば 1 カラットを超えるもの。
- 知られた製作者の署名と、それに符合するホールマーク。有名メゾンに似た様式というだけでは足りません。
- 当初の状態を保ったままの古さ。手を加えられていないセッティング、当初の石、後世の交換部品がないこと。
- ブランド品の元箱、付属書類、領収書。価格を目に見えて動かします。
- 石の珍しい天然色と、大きさ。カラットあたりの単価は急に上がるため、2 カラット 1 石は 0.5 カラット 4 石を楽に上回ります。
そう思えるほどには価値を加えないもの。書類の裏づけがない家族の物語、当初の購入価格、保険のために書かれた古い鑑定評価書、そして色、クラリティ、カットの劣る石のカラット重量だけ。石の品質がどう判断されるかは、ダイヤモンドが本物かどうかを確かめる方法をご覧ください。
売り先と、そこで差し引かれるもの
| 売り先 | 手取りの目安 | 速さ | 向いているもの |
|---|---|---|---|
| 金買取店・精錬業者 | 地金価値の 70〜90% | 即日 | 切れたチェーン、片方だけのピアス、9 金、石なし |
| 質屋 | 地金価値を下回る | 即日 | 短期の現金。売却ではありません |
| 地元の宝石店へ直接売却 | 地金価値から控えめな売却価格まで | 数日 | 着用できる現代の品 |
| 宝石店への委託 | 売却価格から 20〜40% の手数料 | 数週間から数か月 | ショールームを要する品 |
| オンラインの個人売買 | 売却価格は最高。手数料は 13% 前後 | 数週間 | 名の知れたブランド、書類のある石 |
| 専門のオンライン買取 | 確定額。個人売買は下回る | 数日 | ダイヤモンドリング、価格の確実性 |
| オークション | 落札価格から 15〜30% の出品者手数料 | 数か月 | 署名入り、アンティーク、大粒や希少な石 |
どんな一度の判断よりも価値のある習慣が二つあります。見積もりは少なくとも三つ取ること。同じ一点でも業者間の開きは大きいからです。そして、目の前で計量される前に出された数字は、決して受け入れないことです。
数字に決着をつけるもの
三つの測定が、仕事のほとんどを引き受けます。重量は、台所の秤ではなく宝石店の秤で。純度は、信頼できるホールマークがなければ XRF か酸による検査で。そして意味のある石については、GIA や IGI のような鑑別機関のグレーディングレポートを。この三つがそろえば、地金価値は計算になり、売却価格は本当に比較できる品の成約事例を探す作業になります。売り出し価格ではなく、成約価格です。
これらがなければ、どの数字も推定です。写真から作られたものも含めて。だからこそ Carat は地金価値、売却、小売を幅で返し、その根拠となった取引を添えます。自信ありげなひとつの数字を出すことはせず、根拠が支えきれないときは数字そのものを出しません。推定は、その一点が専門家の時間に値するかどうかを決めるために使ってください。その品をどうするかを決めるのは、専門家です。
よくある質問
手持ちの金の地金価値はどう計算しますか。
グラム単位で計量し、ホールマークが示す純度の小数を掛けます。375 なら 0.375、585 なら 0.585、750 なら 0.75 です。そこに 1 グラムあたりの金の相場、すなわち 1 オンスの建値を 31.1035 で割った数字を掛けます。始める前に、石の重さは差し引いてください。
なぜ買った値段で誰も買い取ってくれないのですか。
小売価格には店舗、人件費、在庫、広告、保証、税が含まれており、そのどれも転売には残りません。しかも指輪は新品と競合します。現代の量産品のダイヤモンドリングは、当初の価格の 20 から 40 パーセントで売れるのが通例です。
ラボグロウンダイヤモンドは中古で値がつきますか。
現在のところ、ごくわずかです。一次市場の価格が急落し、二次市場も薄いため、多くの買い手は枠に値をつけ、石は装飾として扱います。価値のうち当てになる部分は、たいていセッティングの地金です。
ジュエリーはスクラップとして売るべきですか。
壊れている、流行から外れている、純度が低い、残す価値のある石がない。そのいずれかに当てはまる場合だけです。スクラップは意匠も製作者も年代も宝石もいっさい見ません。署名やアンティークの可能性が少しでもあるなら、誰かが地金として計量する前に見てもらってください。
アプリでジュエリーの価値が分かりますか。
推定の幅をお示しできます。Carat は地金価値、売却、小売を別々に報告し、その根拠となった直近の取引と地金相場を添え、根拠が薄いときは数字を伏せます。保険のためには、やはり登録された鑑定人による書面の鑑定評価書が必要です。
修理は価値を下げますか。
品によります。現代の指輪なら、腕のよい職人によるきれいな修理はほとんど影響しません。アンティークや署名入りの品では、交換された石、継ぎ足した爪、後世のろう付けは専門家の目に見え、収集家が払う額を下げます。