鑑定できるようにジュエリーを撮る方法
手短に言えば
ジュエリーは窓辺の柔らかな日光のもとで撮ってください。直射日光もフラッシュも使いません。無地の中間調の背景を敷き、画面いっぱいに収め、リング内側や留め金のホールマークをマクロで撮ります。石は真上からだけでなく側面からも撮り、大きさが分かるよう定規を一緒に写してください。
光が仕事のほとんどをする
ジュエリーが撮りにくい理由はひとつです。光を動かすために作られているからです。磨かれた地金は鏡として、ファセットのある石は小さな鏡の束として働き、どちらも部屋にあるものをそのまま返してきます。欲しいのは大きく柔らかな光源で、いちばん手軽なのは曇りの日の窓、あるいは直射日光が差し込んでいない窓です。ガラスのそばの机に品を置き、光が肩越しではなく横から届くようにします。
直射日光は避けてください。小さく硬い光源であり、磨かれた地金に白く抜けた穴をあけ、どのファセットも情報を持たない白飛びの星に変えてしまいます。フラッシュも同じ理由で避けます。しかもフラッシュには固有の欠点があります。レンズのすぐ横にあるため品を平板に照らし、細部のある石の真ん中に、ぎらついた光の点をひとつ残すのです。
背景、フレーミング、露出
背景は無地の中間調に。グレーカードか、模様のない布を畳んだもので十分です。中間調が大事なのは、スマートフォンが画面全体で露出を測るからです。小さな指輪を大きな黒いクッションに置けば、カメラは全体を明るく補正し、地金は白茶け、ホールマークは飛んでしまいます。
次に画面を満たします。写真の十分の一しか占めない指輪は、細部も十分の一しか運びません。品が画面の端にほとんど触れるまで寄ってください。大事な場所を画面でタップしてピントを合わせ、それから露出スライダーを少し下げます。やや暗い写真はファセットの形と地金の質感を保ちますが、明るすぎる写真は両方を壊しますし、真っ白として記録されたものは何をしても戻りません。肘を支えるかタイマーを使い、レンズも拭いてください。指紋がひとつあるだけで、画面全体に柔らかな靄がかかります。
皮脂は拭く。ただし磨かない
写真が曇って見える原因でいちばん多いのは皮脂で、ダイヤモンドはとりわけよく引き寄せます。乾いた柔らかな糸くずの出ない布で数秒拭けば、その大半は落ちます。ダイヤモンドを留めた無垢の金やプラチナなら、ぬるい石けん水と非常に柔らかなブラシで洗い、すすいで乾かすのも安全です。
すべてに安全なわけではありません。真珠、オパール、ターコイズ、エメラルド、珊瑚、接着や箔を使ったものには、水もブラシも近づけないでください。めっき品も同じで、こすれば縁からめっきが摩耗して破れます。すべての石が何か分かっているのでないかぎり、家庭用の超音波洗浄機は決して使わないでください。
そして磨かないこと。古い品では、窪みに残った古色や角の取れた彫刻が年代の証拠であり、磨けば地金を一層ぶん道連れにしてそれを取り去ってしまいます。アンティークかもしれない品や受け継いだ品は、そのままの姿で撮ってください。
手間をかける価値があるのは、ホールマークの一枚
打たれた刻印は、写真が運べる単独の証拠としてもっとも強いものです。見た目からの推論ではなく、製作者や検定所による言明だからです。リングのシャンクの内側、留め金の舌や裏側、ピアスのポスト、時計のケースバックを見てください。
刻印を読ませる技術が二つあります。ひとつは距離です。マクロモードがあれば入れて、レンズがまだピントを合わせられるぎりぎりまでしか寄らないこと。それより近づくと、ピントは迷い続けます。どうしても合わなければ引いて撮り、あとから切り抜いてください。鮮明な切り抜きは、ぼけた接写に勝ります。
もうひとつは、斜めに走る光です。打たれた刻印は印刷された線ではなく窪みです。正面からの光はそれを埋めて平らにしますが、表面をかすめる光は一画ごとの内側に小さな影を落とし、刻印を浮かび上がらせます。窓に向けて品を傾けるか、小さなライトを低く横から当て、角度を変えて何枚か撮ってください。書き写すのではなく撮ること。摩耗した数字は読み違えられますし、読み取りは文字の一つひとつにかかっているからです。
石は真上からだけでなく、側面からも
ほとんどの人は指輪を真上から撮りますが、それは選べるなかでもっとも情報の少ない視点です。輪郭とファセットの並びのほかには、ほとんど何も写りません。重みのある情報は横顔にあります。石の深さは、大きさの推定の半分を占めます。ガードルが厚いか薄いか、フロスト仕上げか研磨仕上げか。キューレットはあるか。石が枠にどう収まっているか、背面が開いているか閉じているか。閉じた背面は気に留める価値があります。古い品や色石の品では普通のことですが、箔やごく浅いカットを隠していることもあり、コスチュームジュエリーにもよく見られます。
背面と裏側も撮ってください。ろう付けの継ぎ目、修理の跡、交換された爪、摩耗しためっきが現れるのはそこです。ネックレスなら、留め金だけを収めた一枚は、全体を写した一枚と同じだけの価値があります。
画面に寸法を与える
写真そのものに大きさはありません。画面を満たした指輪は、子ども用のバンドかもしれませんし、重い印台かもしれません。カラット重量の推定は測った寸法から組み立てられますから、寸法の手がかりは、ほかのどんな情報よりも数字を動かします。
いちばんよい基準は、石の横に同じ平面で置き、同じ画面で同じようにピントの合ったミリメートルの定規です。次点は硬貨で、その種類をメモに書き添えてください。これは追加の一枚として撮り、きれいな写真はきれいなまま残します。さらによいのは、お持ちの実数を使うことです。リングのサイズ、バングルの内径、あるいは 0.1 グラムまで読める秤で量った重さ。測った重さは、地金価値の数字を当て推量から計算へ変えます。
チェックリスト
- 乾いた柔らかな布で品の皮脂を拭き、スマートフォンのレンズも拭きます。
- 間接的な日光の入る窓辺に用意します。直射日光、フラッシュ、天井のスポットライトは使いません。
- 模様のない中間調の背景を敷きます。
- 正面から品の全体を、画面いっぱいに収め、タップしてピントを合わせます。
- 露出をわずかに下げ、地金のハイライトが形を保つようにします。
- カメラを机の高さに置いて、側面から二枚目を撮ります。
- 背面か裏側を一枚。留め金があれば、それも入れます。
- マクロに切り替えてホールマークを探し、浅い角度から光を当て、角度を変えて何枚か撮ります。
- ミリメートルの定規か、種類を書き添えた硬貨を品の横に置いて一枚撮ります。
- 終える前に一枚ずつ最大まで拡大して確かめ、甘いものは撮り直します。
このやり方で撮った六枚から十枚は、天井の照明の下で撮った三十枚に勝ります。
よい写真が変えるもの、変えないもの
よい写真は、結果を当て推量から観察へ近づけます。読める刻印は地金を、しばしば国と時代までを決め、側面からの一枚は石の大きさの妥当な推定を支えます。できないのは、地金を量ること、純度を調べること、石の内部を見ること、そしてそのダイヤモンドが地中で育ったのか装置のなかで育ったのかを確かめることです。それには秤と、宝石店と、宝石鑑別機関が要ります。Carat は渡された写真を評価し、足りないものを挙げます。何を撮り直せばよいかを知るいちばんの近道です。読み取りがどう組み立てられるかは、別にまとめています。
よくある質問
ジュエリーの撮影にフラッシュは使うべきですか。
使わないでください。フラッシュはレンズのすぐ横にあるため品を平板に照らし、細部のある石の真ん中に硬い光の点をひとつ残します。窓からの間接的な日光なら大きく柔らかな光源になり、ファセット、摩耗、打たれた刻印をきちんと写し取ります。
スマートフォンがホールマークにピントを合わせません。どうすればよいですか。
ほぼ間違いなく近づきすぎです。ピントが合ういちばん近い距離まで引き、あとから切り抜いてください。マクロモードがあれば入れ、レンズを拭き、スマートフォンを硬いものに当てて支え、ぶれを避けるためにタイマーを使います。
一点につき何枚撮ればよいですか。
六枚から十枚です。正面からの全体、同じ品の側面、背面か裏側、角度を変えたホールマークの試みを二、三枚、留め金があればその一枚、そして寸法のための定規か硬貨を入れた一枚。
撮る前にジュエリーを洗うべきですか。
皮脂は乾いた柔らかな布で拭いてください。皮脂は石をひどく曇らせます。磨いたり、洗浄液に浸したり、こすったりはしないでください。古い品ではとくにそうです。古色と摩耗は証拠であり、磨けば地金ごと失われます。真珠やオパールには水を近づけないでください。
写真がよいと、価値の推定は変わりますか。
変わるのは、その裏にある確からしさです。寸法、読める刻印、側面からの一枚があれば、大きさ、純度、セッティングを推測ではなく読み取れますから、幅は狭まります。根拠が薄いところでは、Carat は数字をこしらえずに出しません。
宝石用ルーペ越しに撮れますか。
撮れますし、思いのほかうまくいきます。10倍ルーペをスマートフォンのレンズに平らに当て、品をゆっくりルーペへ近づけていくと、すっとピントが合います。使える範囲は狭く周辺はぼけますから、全体よりもホールマークやガードルの刻字に向いています。